最近やっと志方さんの最新アルバム買ったんですが、「謳う丘」って曲に感動したので書いてみた。
ま、いろいろ捏造したけど。
●
大切な人を護る為の力
語りましょう、戦争の歴史を
呪われた地の 悲しい物語
レレンタスの町は何も残らなかった 奪い合う刃、狂った欲望・・・
だが、偉大なる魔導士が神の加護をもってこの地を救った
災いの神 そして敵を壊滅
そして神は、生け贄を捧げる事と引き換えに、繁栄を約束した
呪われた戦争は勝利し終わらせた
かの街は魔の神の加護のもと栄えた
*
僕がラプランカに出会ったのは、まだ幼い頃だった。
いじめられ逃げてきた僕は、神殿の森に迷い込んだ。
「どこ、だよ。ここ・・・」
途方に暮れながら彷徨い歩いているときだった。
突然、何かが樹の上から降ってきた。
「わあ!!!!」
「ぎゃあ!!! ・・・いったぁ〜」
僕は目をむいた。降ってきたのは同じ年頃の女の子。
しかもその幼さでもわかる、光り輝くような美貌を持っていた。
「・・・何よあんた!」
・・・しかし出てきた言葉はあまり美しくなかった。
「何でこんなところに今いるのよ! タイミング悪いったら・・・・・・、・・・あんた、本当に誰? 見かけないヤツね」
「迷った」
僕は簡潔かつ正直に答えた。
「・・・もしかして、外の人?」
「外? 普通に街に住んでるけど」
いきなり彼女は僕の肩をがっしと掴んでつめよった。
「連れてって!!!」
つばが飛ぶんだけど。
・・・て、え?
「どのあたりから来たのか教えなさい。そしたら帰り道を教えてあげるわ。あたしもついてくけど」
彼女は太陽のように笑って言った。
「あたしの名前はラプランカよ、よろしくね」
僕は彼女の名前に聞き覚えがあったが、思い出せずに終わった。
おかげで「仕方ないか」と彼女を連れ出した。
それが罪だったのだと知ったのは、その日の夜に神殿兵が彼女を迎えに来たときだった。
彼女は、生まれたときから「神の娘」と呼ばれていた。
*
「だからってさぁ、監禁することないと思わない?」
第一回目の脱走からしっかり脱走の技術が身に付いたラプランカは、たびたび僕のところに来ては愚痴を言った。
「・・・君が逃げるからだろ」
僕は両親に捨てられた孤児で、1人暮らしな上、仕事に合わせてしょっちゅう家を変えていたから都合がよかったんだと思う。
「また冷たいこと言うー。あたしが来て嬉しい、って言ってごらん?」
ラプランカはにやっと笑う。
・・・そんな台詞、言えるか!
「神の娘、なんていわれるくらいだ。大切なんだろ」
「・・・まぁ、ね」
彼女は「神の娘」のことを話すたび、悲しそうにする。
「・・・でも、17になったら解放されるんだろ? あと数時間じゃないか」
前にそう、ラプランカから聞いている。
そんな日くらい神殿にいればいいのに、待ちきれなかったんだろうか。
「・・・・・・ま、ね」
ラプランカはちょっと笑った。
いつもの輝かしい笑顔と違って、妙に寂しそうな・・・、
「ねぇ、あたしがいなくなったら悲しい?」
「は?」
僕は驚いた。
「え、17になったら、他の街に行くつもりなのか?」
「・・・・・・・・・・うん・・・」
ショックだった。
何の疑問も持たずに、彼女はこの街にいるのだと。
むしろ、やっとずっと一緒にいられるのだと、考えていた。
「・・・なんで」
彼女は都合がいいから僕のところにきている。
それは理解している。
でも、もしかしたら。
そんな期待もしていただけに、ショックだった。
「・・・・・・うーん・・・」
煮え切らない返事に、僕はついに言ってしまった。
「僕と一緒にはいたくないの?」
・・・一緒にいたいのは、僕だ。
ずっと。きっと初めて彼女の笑顔を見たときから。
僕はこのときばかりは恥ずかしさをなんとか押し殺して、彼女の手を握りしめた。
彼女は驚いたように目を見張ってから、頬を染めて僕の額に彼女の額をこつんと合わせた。
「・・・いたいよ、一緒に」
世界から切り離されたラプランカ。
孤児で、更にそれを理由にいじめられ、ずっと1人だった僕。
僕たちは、お互いにやっと2人になれたのだ。
僕の胸が喜びに満ちたとき、急に大地が震えた。
グラグラと世界が揺れる。
「ラプランカ!」
僕は夢中になって彼女を抱きしめた。
やっと揺れが収まると、ガンガンと戸が鳴った。
「神の娘! いるのだろう!」
鍵を壊して、扉が開く。
いつもと違う乱暴な態度に僕は驚いた。
入ってきたのは、いつもよりずっと多い神殿兵と、白いひげを伸ばした偉そうな神官。
「・・・神の娘よ。時は満ちた」
「・・・・・・・・・・」
「ラプランカ!」
ぎゅ、と僕に抱きついてくる。
僕はただただ戸惑っていた。
「・・・神官様、これは」
「ラプランカを渡していただこうか」
「これはどういうことですか!」
神官は神の使徒とも思えない笑みを浮かべた。
「知らぬのか」
ざわ、と怖気が走る。
「神の娘は、神への生け贄ぞ。その身をもってこの街を守るのじゃ」
・・・何を言った。
彼は何を言った。
僕の、ラプランカが・・・
「ほら! 立て!」
「この街を滅ぼすつもりか!」
神官兵が僕とラプランカを無理やり引き裂く。
「・・・・・・ぃやあ!」
「ラプランカ!!!!!!」
僕は必死でラプランカに追いすがろうとした。
とたんに神官兵が僕を殴る。
頭を床に押し付けられ、動きを封じられる。
ラプランカが遠ざかる。
「・・・・・・ごめんね」
最後に聞こえた言葉はそれだった。
「ラプランカぁぁぁあああああああああ!!!!!!!!!!!」
僕は血を吐くように叫んだ。
*
何故ラプランカが生け贄なのか!? ぼくにとって、かけがえのない大切な人なのに
世の中にはこんなにもたくさんの人がいるのに、 何故!?
そして僕は、剣をとった。
ラプランカ! ラプランカ!!
僕から彼女を奪わないでくれ。
光なんだ。たった一つの僕の光なんだ。
ああ、ラプランカ!!
神よ。僕から彼女を奪うというのなら
そんな神はいらない
「幾千の魂裂いて 万の剣受けようと
構わない 君だけが せかいのすべて・・・」
贄の血啜る魔は 皆焼き尽くせばいい
唯一羽の小鳥でも 少年には世界 そのもの
そして少年の刃は、神の心臓を貫いた。
「・・・ラプランカ」
ずっと一緒にと囁き、彼女を抱きしめた。
「人を殺めることになっても、世界中を敵に回すことになっても、それでラプランカが助かるのなら」
僕は迷わずそれをするよ
彼女はそっと涙をこぼした。
*
レレンタスの町は何も残らなかった 奪い合う刃、狂った欲望・・・
あの後、町は周りの町によって滅ぼされたのだ
町の力のバランスが崩れた、豊かな大地も失った
あまりに残酷すぎる戦争の話
せめて、あなたの大切な人を幸せにしてあげて欲しい